腰痛の原因が椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症ではないのに、そう診断されている人は実に多くいらっしゃいます。私が実際に患者さんを治療した実感では、9割以上の腰痛の原因は別のところにあります。本当の原因を治した結果、腰痛がウソのように簡単によくなった方はたくさんいらっしゃいます。
現代医学では腰痛の原因は不明と言われています。
神経圧迫と聞いたら、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?飛び上がるほどの痛みが出るのではないか?そう思う人も多いかと思います。神経圧迫が痛みの原因としてよく挙げられる症状として、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛、脊柱管狭窄症、分離症、すべり症などがあります。手術を薦められることも多い症状だと思うのですが、もし手術を薦められたとしても、少しだけ待ってください。手術をする前に本当にその痛みの原因が、神経を圧迫していることによって起きているのか、少しだけ考えてみませんか?ヘルニアによる神経圧迫の記事はこちらをご参照ください。こちらは海外論文が多いです。
こちらはNHKためしてガッテンで慶應大学医学部付属病院整形外科の松本守雄先生の記事です。
神経の役割は情報伝達です。運動神経も感覚神経も同じです。私たちの身近なものに例えると、電気コードと同じような役割。神経に電気が流れるとON、流れていないときはOFF。このON、OFFで神経は情報を伝えています。もし情報を伝えている最中に、隣の神経の情報が混じってしまったら、どうなってしまうでしょうか?きっと情報はめちゃくちゃになってしまいますよね。そのため、神経は途中で他の情報が混じらないような作りになっています。つまり神経も圧迫されたり少しくらい引っ張られても影響がないようになっているのです。滋賀医科大学のHPの中に、実際に神経を圧迫してどのようになるのかを実験した方がいます。
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/pain-spinal.html
このページの「神経根性疼痛 radicular pain」の項目の部分をみてください。
- 神経根痛は、脊髄後根の圧迫によって、後根の支配領域に出る症状。しかし、圧迫だけでは症状は出ない。
- 正常な脊髄神経の圧迫は痛みを生じさせない。
- 正常人の脊髄神経根をバルーンカテーテルを使って圧迫すると、paresthesia(錯感覚:触られた時などに感じるのとは少し異なる感覚)と感覚鈍麻が誘発されるが、痛みは誘発されない。縫合糸をかけて牽引しても痛みは誘発されない。
と記載されています。つまり、実際に神経を圧迫したり引っ張っただけでは、痛みは生じなかったということなのです。
一般的には脊柱管狭窄症というのは「脊柱管」の一部通常よりも狭くなって、神経が圧迫を受けることから痛みやしびれや歩行障害をきたすことを言います。しかし神経の圧迫によって痛みが出ないということを知れば、他に痛みの原因があることになります。
痛みの原因は??
椎間板ヘルニア、脊椎すべり症のような症状に悩まされている方も多いと思いますが、このようにレントゲンやMRIによって診断可能な症状は、腰痛全体の15%程度と言われています。
日本整形外科学会と日本腰痛学会が2012年にまとめた「腰痛の診断指針」によると、原因が明らかではない非特異的腰痛が全体の85%を占めると書かれています。ほとんどの腰痛がレントゲンやMRIで確認できる骨ではなく、別のものが原因になっているということなのです。
骨や神経自体が痛みを感じることはなく、椎間板ヘルニアでよく言われる「神経が圧迫されて痛い」ということも根拠がありません。腰痛の原因は神経の圧迫や筋力の衰えが原因ではありません。筋力が原因であれば子供や高齢者は全員腰痛であるということになります。それでは、骨や神経、筋力低下が原因ではないとしたら、腰痛の原因は一体何なのでしょうか。
痛みや痺れというものは血流障害によっても起こることがあります。体温が低い・血管がもろいというわけではなく、不良姿勢による「筋肉のこわり」によって起こることがあるのです。肩こりは経験したことはありますか?肩こりがひどくなると、じんじん痛み出したり、特定の姿勢を取るのが辛くなってしまいますよね。実はそれと同じことが腰でも起きているのです。腰痛というのは腰こりのことなのです。それでは、肩こりはどうして起きるのでしょうか。これは恐らく想像しやすいと思います。肩こりの原因が骨や神経、筋力低下からくると思っている人はほとんどいないはずです。ほぼ全ての方が筋肉のこりが原因と答えるのではないでしょう
筋肉は、持続的に引っ張られるなど、無理な力が加わったりすると、損傷から守る為に反射的にグッと縮まります。いわゆる伸張反射と呼ばれるもので、「縮んで守れ」という信号を出してシートベルトのようにロックする機能が備わっています。
一言で表すと、筋肉が硬くなるのは、「筋肉を守る仕組み」と言うことになります。筋肉の中には、筋紡錘と呼ばれる、筋肉の伸縮度を感知するセンサーがあります。このセンサーには、筋肉を保護する機能が備わっています。脳まで信号を送って判断すると時間がかかってしまうので、緊急の場合は、筋紡錘の判断だけで筋肉を縮めます。これが伸張反射(脊髄反射)です。
持続的に長期間同じ負荷が続くと、筋肉が収縮したままで戻らなくなります。また負荷が長時間に渡ってかかる場合も、同様に筋肉が硬くなったままになります。筋肉が縮まりやすいかどうかは、様々な条件によって変化します。今までの経験から、ストレスや睡眠、栄養状態などの条件だけではなく、「不良姿勢」による筋肉バランスの左右差などで筋肉は硬くなりやすいです。また、縮こまっている筋肉が増えると、他の正常な筋繊維への負担が増え、正常な筋肉も巻き込んで筋収縮は進行します。
縮こまった筋肉が、本来の柔らかさを取り戻すためにはどうすれば良いでしょうか?。揉んだり叩いたりすれば良いのでしょうか?マッサージには老廃物を流すという効果があり、一時的に筋肉のこわりが楽になった感覚が得られますが、硬くなった筋肉が元の状態に戻ることはありません。むしろ、筋肉は「伸ばされる」と察知して、さらに縮んでしまう可能性もあります。
逆に、筋肉が「無理に力が加わっていない」と認識すれば、本来の柔らかさを取り戻すことができます。そのためには筋肉を伸ばすのではなく、左右差を取り戻すことが大切です。人間は本来の姿勢というものがあります。ニュートラルポジションとも言いますが、左右差のない身体は身体が一番リラックスしている状態となります。しかしほとんどの方は、足裏のバランスが悪くなることで、脚の長さに左右差が生じてしまうのです。裾上げなどで切る長さが両足で違ったり、スカートやズボンが歩くたびにクルクル回る方は身体の左右差がある方です。
身体のゆがみというものは足裏から始まり頭まで到達します。女性であれば眉毛や耳の高さが違ったり、目の大きさが違うという方も多いはず。片方で噛むクセがある方は顔の筋肉が左右対称で無くなりますから、食いしばりなどでアゴに痛みを生じる方もいます。しかしそれらは腰痛同様に、腰の問題ではなく足に問題を抱えているのです。
実際にあなたの足指を見てみてください。ほとんど方に足指の変形が見られます。
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